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新石川県立図書館のプロポーザル時から全体計画に参加し、最終的に外観デザインを担当した。
外観を考えるにあたり、新県立図書館の持つ、様々な空間の特徴と、図書館として必要な機能が、両立しながら外観としてそのまま現れる形態が望ましいと考えた。
まず、外部空間の特徴としては、十分な広さを持つ敷地に対し、その中心に建物が配置しており、それを取り囲むように、広場や緑、歩道、駐車場などが、入れ子状に配置されている。利用者は、車やバス、徒歩などにより様々な方向から、敷地中央に配置されたの図書館へとアクセスする。そこから建物の内部空間へ入ると、グレートホールと呼ばれる、すり鉢状の4層吹き抜けの大閲覧空間をに入り込み、その空間を中心に、利用者はそれぞれの目的地へと、スロープなどを通りながら図書館内を巡っていく。
それらの外部と内部空間の特徴を捉え、図書館としての機能を合わせ持つ形態として、大判のコンクリートパネルとガラスを、交互に雁行させた「本のページをめくる」の外観を提案している。
「本のページ」を構成する外壁パネルは、図書館という機能から、本への直射日光の遮断を十分に考慮し、日射のシュミレーションを行いながら、1枚のページの長さと角度を、様々に変化させながら決定することで、「本のページをめくる」ような外観を、機能を合わせ持ちながら、敷地に対して、表裏なく連続的に構成している。
さらにその外壁のページは、南側のコーナー外壁の「ページをめくり上げる」ことで、図書館に訪れる人が、本の空間へ入り込む導入としての期待感を高める形態となっている。
内部空間に対しては、グレートホールを中心として、利用者が図書館を巡りながら辿り着いた窓際の空間を、雁行配置の外壁によって作り出された、景色を眺めることのできる半個室の閲覧空間として、利用者が本へと集中していく空間となっている。
また、大判の外壁パネルの仕上げ材には、茶色と緑の手焼きの石器質タイルを市松状に配置し、そのタイルに斜めの十字模様に刻印することで、タイルの角に丸みが帯びたような柔らかな印象と、日射によって様々に変化する陰影効果を持つ、工芸建築としての外観を作り出している。
「本のページをめくる」外観が、図書館としての機能を併せ持ちながら、訪れた人を迎え入れる顔となり、内部空間を巡って訪れた窓際の半個室の閲覧空間で本の物語の中に入り込む。本の魅力を形態として表した外観となっている。
所在地/石川県
規模/地上4階、地下1階
延床面積/22,272.78m2
構造/SRC造
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